KURONEKO'S room

いらっしゃいませ。

ここはクロネコの小説です☆

19話

 
−冷たい黙示録V−


 しかし、ネオンには突然現れた見ず知らずのこの男が何を言っているのか、さっぱり見当がつかなかった。まず、あなたは誰だと聞きたいほどだ。

 

 

黒い男はさも面倒そうに溜め息をついた。そして、いつの間にかか手にしていた何かをネオンの目の前に置いた。それはネオンの顔にあまりに近すぎて見ることさえままならかったため、ネオンは後ろへと下がった。

 

「ひっっ・・・!!」

 

ネオンは目の前のものを見た瞬間、吸いかけた息をその場で止めた。それは明らかに恐怖と嫌悪からくる驚愕とも言うべき思いによるものであった。

 ネオンは先ほど目にしたモノを思い出し、再び身の毛立つ思いに両腕を体に巻きつけてギュッと力を込めていた。

 

―いったい何!?

 人形・・・みたいな。でもあんなに生々しいなんて―

 

ネオンはその物から距離を置いた事で気付いたのだが、先ほどネオンの見たモノはどうやら実体のある物ではないようだ。というのも、ネオンの目線の先にあるのは今は倒れているが、黒石のように重そうな質感の縁が取り付けられたそんなに大きくはない何かだったのだ。そして、ネオンはその黒い縁の中に怖ろしいモノを見たのだった。

 

―な、なんだ・・・絵だったのかな。アレ―

 

ネオンは最初に見た瞬間の恐怖を拭い去れないまま、恐る恐る背筋だけを伸ばして上から覗き込んだ。

 

 ヒュッ

 

何とか声までは出さなかったが、やはりそのモノを視野に入れた恐怖で短い息が反射的に止まってしまった。

inserted by FC2 system