17話
−冷たい黙示録−
「ネオンちゃんっ!」
そう呼ぶアルリドさんを、やっと分かってくれたのかと喜びながらネオンは振り向いた。
そして、振り向いた先に待っていたのはアルリドさんのホッとしたような笑顔だった。
―はぁ〜良かったぁ―
どうやら本当に分かってくれたようだと感じながら周りを見ると、他の村人たちはネオンの方を向いてはいなかった。こちらを見て嬉しそうな顔をしているのはアルリドさんだけだったのだ。
ネオンはどういうことだと、顔をしかめながら村人たちが見ている方向を見ると・・・そこには
ネオンがいた。
「ネオンちゃんっ!無事だったのね!!」
目の前にいる、先ほど自分の方を見て嬉しそうに名前を呼んでくれていたアルリドさんは“もう一人のネオン”の方を見て、そう言った。そう、アルリドさんは初めからネオンの先に立っていた“もう一人のネオン”に向かって言っていたのだ。
その事が分かった瞬間、『どうして自分がもう一人いるのか』。そんな事は気にも留めることが出来なかった。
ただ 悲しくて 悲しくて
ただ 自分を 見て欲しくて
ただ 悲しかった
追い討ちをかけるように村人たちはネオンへとジリジリ迫ってきていた。武器を振り上げ、石を持った手を振り上げ、目には殺気を漂わせていた。
「・・・こ・なの・・・・」
「もぉ、終わればいい・・・」
ネオンの悲しみに満ちた声が静かに響いた。