KURONEKO'S room

いらっしゃいませ。

ここはクロネコの小説です☆

15話

 
知っているけど知らないV


 今ネオンのいる所はネオンの家のすぐ裏手の丘の上であったため、まずは飲み会場の方へと向かった。近くまで行くと、もうすでにいつものドンちゃん騒ぎはお開きとなっており、静かだった。いつの間にか夜更けの時間帯に入っているのだろうかと考えながらネオンは静まり返った飲み会場を横の小窓から覗いてみた。2〜3人そのまま眠ってしまったようで、床の上に寝ている様子がうかがえた。その中にいたマーカスさんは

「行くな〜モカぁ・・・」

と、寝言を言いながら寝返りを打っていた。

 

 いつもの光景にホッとしながら、ネオンは静かに飲み会場へと入り、寝ている3人に毛布をかけた。そして、静かに飲み会場を出た。

その時、会場の奥の方からゴソゴソという音が聞こえた。きっと、奥にまだ寝ていた誰かが寝返りを打ったのだろう。そんな平和な空気にネオンの強張っていた肩の力も抜けたようで、ふわりと口元が綻んだ。そして次はアルリドさんの元へと向かった。

 

 

その途中、マークさんキャシーさん夫婦の家の前も通ったが、いつも通りガーゴーと、そしてギリギリと聞こえていた。

マークさんはイビキがとても大きく、とてもじゃないが隣にいては眠ることができない。一度、ネオンはキャシーさんにちゃんと眠る事ができるのかと聞いたことがあるのだが、キャシーさんは

「そんなに大した大きさじゃないわよぉ〜。それとも私、眠りに落ちるのが早いのかしらぁ〜。」

と、マスカラのたっぷり塗られた重そうなまつ毛をパチパチさせながらケラケラと笑って言っていた。

 

ネオンはしばらくしてから気が付いたのだが、キャシーさんはマークさんのイビキに負けず劣らず歯ぎしりがうるさいのだ。そのため、お互いの音で気が付かないのだ。

 そこまで考え付くと、一生を添い遂げる夫婦ってよくできているものだなぁと、ネオンは妙に感心してしまったのだった。

 

 

 そんな事もあって、マークさんキャシーさん夫婦の家は夜になるとガーゴーギリギリという音が鳴り響くのだ。その音を聞いて、よし、いつも通りみたい。みんな何もなかったみたい。そうネオンは一人安心しながら歩いた。

 

―アルリドさんなら起こしてもきっと怒らないでくれるはずだから、今夜の事、話してみるかなぁ―

 

信じてくれないかもしれないけれど、自分一人ではいたくないと思いながら小さめの畑を通り過ぎて、家の戸の前までやって来ると、ドアを叩いた。

 

  トントン トントントン

 

  アルリドさん、私、ネオンだけど

 

  こんばんはぁ

 

何度か繰り返していると、ようやく起きた様子でパタパタと走ってくる音がした。

 

  ガチャリ

 「ネオンちゃん!?どうかし・・・!?」

 

 「あ、アルリドさん、あのね私っ

 

  キャアアァぁあー!!!!

  

ネオンが言い終わらないうちに、突如アルリドさんは耳をつんざくような鋭い叫び声をあげた。  

 

「ア、           アルリドさん!?どうしたの!?」

 

突然耳を塞ぎたくなるような叫び声をあげたアルリドさんに驚いたネオンはアルリドさんの隣へと駆け寄った。

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